【新唐人2012年12月9日付ニュース】10年前に開かれた第16回中国共産党大会では貧富の格差のさらなる拡大を放任してはならないと豪語しました。しかし、10年後の今、中国社会の貧富の格差はさらに深刻なものになっています。近日、香港メディアが中国共産党の内部秘密報告を明かし、中国のジニ係数はすでに危機の臨界点を突破し、大規模社会的動乱は一触即発の事態にあると指摘しています。
ジニ係数とは、社会における所得分配の不平等さを測る指標で、一般的にはこれをもって貧富の格差の程度を判断します。通常は0.4を社会騒乱多発の警戒ラインとします。
中国のジニ係数は当局による正式発表がないため、一般的には学者の研究によって割り出された数値が用いられます。周知の事ですが、中国のジニ係数は警戒ラインの0.4をとっくに超えており、毎年上昇を続けています。
近日、香港の雑誌“争鳴”11月号が中国共産党の秘密報告書を掲載。“社会の安定および調和に関する調査研究”と題したこの内部報告書には、“2012年上半期、中国のジニ係数は上昇を続け、0.613に達し、すでに危機の臨界点を超えている。社会の各種不安定要素はさらに増強し、社会矛盾がさらに激化し、随時大規模動乱が発生する危険な状態にある”と記されています。
アメリカ・サウスカロライナ大学の謝田教授によると、貧富の格差が最も激しいのは南アフリカで、ジニ係数は0.7。原因は民族間の紛争によるものです。しかし、民族紛争のない中国で、ジニ係数はなぜこれほど高いのでしょうか。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「ここ1~2年、中国の貧富の格差はますます拡大し、民衆の不満も高まる一方です。官僚の略奪や汚職腐敗も日に日に深刻化しています。ジニ係数が0.6を突破して、0.7に向かうのも想定内のことです」
報告書はまた、一連の研究データを列挙し、貧富の格差がすでに危機の臨界点を突破していることを証明。
例えば、2011年の公務員と一般市民の年収を比較すると、省レベルの公務員の平均年収は一般市民の15倍から38倍。平の公務員でもその年収は、地元一般市民の6倍から12倍に達しています。
しかし、このデータには公務員の休日の旅行、各種物資の無料配布、家族が受ける優遇などといった隠れた収入は含まれていないそうです。
中国経済学者 簡天倫博士
「社会動乱はすでに存在し、両極分化の状況下、ほかの社会の不公平も不満を引き起こしています。私はこのジニ係数の予測を信じます、もっと高い可能性もあります。実際はみんな知っています。データがなくても、中国の両極分化の深刻さはみな知っています」
報告書はまた、集団的な抗議やデモ、陳情事件は毎年2割増の勢いで増加していると指摘。抗議運動は当初の官僚の腐敗や民衆の権益侵害に対する反対抗議から、すでに権利の獲得を目指す“権利運動”へと変貌しつつあり、社会各層からも支持や同情を得ていると指摘しています。
また、地方官僚の責任のなさについても非難しています。例えば、地元の深刻な問題と政治危機を目にした地方官僚は、ある程度の憂慮と緊張感を覚えるものの、対応や処理の過程で“もうちょっと様子をみてみよう“の心持で、責任を担おうとはしないと指摘しています。
また、民衆の不満に対し、当局は高圧手段で対処していますが、これらによって当局に対する民衆の期待と信頼感が徹底的に失われたと警告しています。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「ジニ係数に表れる経済上の格差だけでなく、政治上、社会上においても、すべての指標が一つのことを物語っています。つまり、中共の統治がまもなく崩壊するということです」
報道はまた、北京の政治情勢アナリストの話を引用し、いわゆる”改革開放30年“は確かに中国共産党の権力階級に巨大な利益をもたらしたものの、一般民衆は苦しい労働ばかり強いられ、本来享受すべき福利は享受できていない。ジニ係数の警告はまさに息絶え絶えの中国共産党政権の表れであると指摘しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/坂本 ナレーター/荻野 映像編集/工)